仏壇は日本独自の文化

仏壇は仏教国のどこにでもあるものではなく、日本独自の文化です。仏教は6世紀に中国から日本へ渡来しました。白鳳14年に天武天皇が「諸国の家毎に仏舎を作り、仏像と経を置きて礼拝供養せよ」と詔したのがはじまりです。はじめは武士や貴族が自分の家に仏壇を安置するようになり、徐々に現在の仏壇の形になっていきます。以来、平安時代には貴族を中心に、鎌倉時代には武士を中心に全国に広まり、江戸時代に檀家制度によりそれぞれの家ごとに仏壇と所属の寺院を持つようになり一般庶民にも欠かせないものとなりました。現代になり核家族化が進むと、仏壇は一族にひとつのものから、一家にひとつのものとなりました。また、洋間の出現によって仏壇の形も様々な住居の形に対応する形状へと進化を遂げています。
寺院が生活の身近にあるタイの人々などは、仏教国であっても仏壇を設ける文化はありません。私たち日本人にとって、寺院やお墓と日常的に接することが少なくなってしまった今、仏壇はしっかりと年忌供養を行い、仏様やご先祖様にお参りするための大切な存在です。仏壇は日本の伝統工芸品のため、国産のものがほとんどだと思われているかもしれません。しかし、近年では80%を超える仏壇が海外で生産されています。安価な海外製の仏壇も品質は向上してきていますが、日本の仏壇職人が心を込めて作るものは代え難い良さがあります。仏壇が生まれてから約1300年もの間、その存在は、日本人の心のよりどころであり続けてきました。このような歴史を見つめ、時代が変わってもその心は変わらずにいたいものです。現代の人々の暮らしに適応するよう、さらなる発展を遂げながら、脈々と継承されてきた技術をもって日本の匠によって仏壇が造り続けられています。